特集:移転価格税制の動向

はじめに

タイにおける移転価格税制の改正のこれまでの経緯は、以下の通りです。

  • 2015年5月に首相府より移転価格税制の改正骨子が公表
  • 2017年6月21日、歳入局ウェブサイトに修正法案が掲載
  • 2018年1月3日、移転価格条項の草案が閣議決定
  • 2018年9月、移転価格条項がNLA(国民立法議会)で承認
  • 2018年11月21日、移転価格条項が官報(Royal Gazette)に掲載、同年11月22日に施行

2015年に公表されたOECDによるBEPS行動計画の最終報告書に対応するかたちで各国で移転価格税制の改正がすすんでおり、2015年に中国・日本、2016年にインドネシア、2017年にベトナムとアジア各国でも法改正され、上記の通り、ついにタイにおいても法改正が発効されました。

>>Topに戻る


2018年9月にNLA(国民立法議会)で承認され、同年11月21日に官報に掲載され、同年11月22日に施行された移転価格条項

施行された移転価格条項(歳入法典第71条Bis、第71条Ter等)のポイントは、以下の通りです。

  • 2019年1月1日以降に開始する会計期間から適用されます。
  • 関連者(50%超の株式保有関係がある会社)との取引が年度内にある場合、法人税申告書(PND50)と合わせて報告書(関連者の情報およびその関連者との取引金額等を記載した関連者間取引に関する表)を提出しなければなりません(報告書の記載内容は現時点では不明です)。
  • 上記報告書を提出した日から5年間、税務担当官は、当該会社に関連者に関する移転価格文書(移転価格の算定・分析に必要な文書もしくは証憑)を提出することを要求することができます。税務官から当該要求を受けた会社は、当該要求書を受けた日から 60日以内(初めて要求書を受け取った場合は、当該要求書を受け取った日から 180日以内)に提出しなければなりません(提出できない場合は20万バーツ以下の罰金:歳入法典第35条ter)移転価格文書の詳細は、現時点では不明です。
  • 上記規定は、当該会計期間において「財務省令(Ministerial Regulation)で定める金額」を超えない収益の会社に対しては適用されません。「財務省令で定める金額」は、2億バーツを下回ってはなりません。

今後、省令等の公表の都度、追加の情報を当Webサイトに随時掲載させていただきます。

>>Topに戻る


(参考)日本の移転価格税制

なお、上記タイでの法制化とは別に、日本側での移転価格税制の対応により、タイ子会社が日本本社と連携して対応を検討することが必要なケースがあります。日本の移転価格税制の概要は以下の通りです。

日本では、平成28年度の税制改正(OECDによるBEPS行動計画13の最終報告書を踏まえた改正)において、租税特別措置法の一部が改正され、移転価格税制に係る文書化制度が開始され、原則として、(1) 国別報告事項、(2) マスターファイル、(3) ローカルファイルの3つの移転価格文書の提出、または作成・保存が義務化されました。

このうち、(1) 国別報告事項と(2) マスターファイルは、平成28年4月1日以後に開始する会計年度(2017年3月期決算)において、直前会計年度の連結総収入金額が1,000億円未満の多国籍企業グループは提出が免除されています。

一方で(3) ローカルファイルは、平成29年4月1日以後に開始する会計年度(2018年3月期決算)における海外子会社等との前期の取引金額(受払合計)が50億円以上またはロイヤルティなど無形資産取引の場合は3億円以上の場合、確定申告書の提出期限までに作成し(「同時文書化」)、7年間保存する義務があります。この同時文書化義務がある場合、税務調査で求めがあった場合、税務調査官が指定する45日以内の期日までにそれを提出する必要があります。

>>Topに戻る